『永遠の0』
『永遠の0』
『海賊とよばれた男』に続いて、百田尚樹作品をまた読みました。
最近映画も出ていて、どの書店に行っても入ってすぐのところに山積みされていますね。
この作品を読んだ人はみんな「涙が止まらなかった」と言いますが、
私は個人的に『海賊とよばれた男』の方が感動しましたし、涙も出ました。
『海賊とよばれた男』は、人間愛に感動して、ジーンとくる感じでした。
本作品は設定も設定なので、悲しい場面はたくさんありますが、本当に「美しい」の一言に尽きると思います。
だから、涙は出ませんでした。
さて、内容についてですが、
まず、相変わらず史実が詳しく書いてあって、作品を楽しみながら、戦時中の日本の海軍について学習することが出来て、本当に良かったと思います。
そして大きく取り上げたいテーマは2点。
①歴史認識について
「特攻は今で言うテロリストだ」「戦時中の日本人はみな洗脳されていて、戦争が終わってその戦争から解放されたのだ」という主張は、私も耳にしたことがあります。
でも果たしてこれは本当なのでしょうか?
私も特攻についてはこの本を一冊読んだくらいで、全く知識はありませんが、同じようにそこまで詳しくない人(特に現代の人)にこのような発言をする権利はないと思います。
これは今歴史認識がどうこうでもめている日中韓に関しても言えることなのですが、歴史認識は、しっかりと事実を勉強した上で持つべきものであり、ちょっと新聞記事やニュース番組での解説者の話を聞いただけで考えを主張すべきではないと思います。
言われてみれば当たり前ですが、まともな知識もないのに自らの主張の正しさを訴える人があまりに多すぎると思います。
②この作品の「美しさ」
冒頭に、私はこの作品、特にエンディングが「美しい」と言いました。
戦時中の海軍にいても、運命的な出会いはたくさんあったのです。
そしてその出会いが不思議に働いて、様々な人間関係を構築していく。
今日生きて夜ごはんの席に座れるか分からないような状況で、まさに一期一会でした。
でも最後の最後に、一瞬だけ人生が交わった人たちが、運命に導かれて、再会します。
この人と人とのつながり方が、実に美しいのです。
うまく説明できなくてすみません。
この小説に対して1点不満だったのが、話の展開に関してで、
ちょっと上手く出来過ぎてる感があって、私はそれが納得できませんでした。
例えば宮部久蔵の孫たちが聞き込みを行う元軍人たちは、
宮部さんと出会った順番に小説に登場し、
しかも主人公たちが知りたいと思った情報をタイミングよく教えてくれるのです。
ちょっとあまりにスムーズに進み過ぎていた気がします。
今年2014年と言えば、第一次世界大戦がはじまってからちょうど100年です。
20世紀は大きな戦争が2つもあって、多くの人が自分の国のために1年を落とした世紀となってしまいました。
21世紀もまだ始まったばかりですが、
1914年からの100年間のうちに、
私たちは何を学び、
何を考えるようになったのでしょうか。
21世紀が平和でありますように。